よくいる57歳の日記

そこらへんによくいる56歳の日記

プリニウス  ヤマザキマリ & トリ ミキ

読みたかったけどずっと読めてなかった漫画…

仕事忙しいのだが、有給を消化しなければならず本日休業なので、日曜日から読みました... 

Kindle で、Unlimited で 1 ~ 6巻

その後 7~11巻は半分ポイントバック 12巻は定価 で 読むことができました。

unlimited 解約すると 7~12巻しか読めなくなるのだが…

 

プリニウス 博物誌を書いたローマ時代の知識人が主人公…

プリニウスが火山の噴火で家族を亡くした青年エウクレス(正確には二週間前に父を看取り噴火で家を失った)を書記として雇うところから始まり、数十年後に火山の噴火をまじかにみながら亡くなるまで書かれ、皇帝ネロの妻殺しからローマの大火や退位までが時代背景として書かれている。

ボディーガード?のフェリクスさんと、自然と人間と文明を観察しながら旅して、いかなる場所でもエウクレスは口述を筆記しなければならない…。

多種多様な人種や文明が戦い、征服された側は奴隷として売買され、その労働力が都市の造営を支えていた…という過酷な古代文明の世界。

自然を観察し、人間を観察し、書き留めることに心血を注いだプリニウスだが、亡くなる瞬間、プリニウスにとって世界は書き留めるためのものではなく友達であり故郷であったのだなあ…っていう終わり方して、泣けた…。

とりみきさんとヤマザキさんの間で話し合いがもたれた部分であったそうです。)

絵がとにかくすばらしい。詩的な絵。

ネコのガイア、諸星大二郎さんの漫画に出てくるボリスがもっと知的になったみたいで濃くかわいい...  

ローマの治世の少し前に地中海ではフェニキア人が海上を巧みに航海していたこととか、ユダヤ人がローマ領内で新興宗教であったキリスト教をひろめていて薄気味悪いといわれて迫害されたこととか、漫画で描かれると改めて実感わいてくる…。

プリニウスの時代から変わらず、人間は自然の力を超えることはできないし、超えてしまったらもう人間は生物ではないのじゃないか?と思う。

感情移入できる登場人物たちの愛らしいキャラクターはヤマザキマリさんの造形なのだと思うが、現代を生きる人間の多数がこの漫画の中のプリニウスたちのように世界を愛していたら、もっと素晴らしい世の中になるのにね…とおもわずにはいられない。

ヤマザキマリさんはイタリアに長く滞在されたし、今もあちらにもお住まいがあり、仕事でもレポーターなどされている。異邦人としてしっかりイタリアやギリシャの街をみつめた人にしか、昔そこにいたはずの人たち、をこんなに活き活きと描けないよな…。

何回も読み直したい名作だった…。