よくいる57歳の日記

そこらへんによくいる56歳の日記

真行寺弘道シリーズは結局最新がいつもいい

と、つくづく思う。

DASPAシリーズ(吉良大介が主人公)とリンクした真行寺弘道シリーズは出版社からは『インフォデミック』が最新、ということだろうけど、読者的には、

『マネーの魔術師 ハッカー黒木の告白』 が、スピンオフ的な扱いになってるけど、最新だと思う。

この本を読んで面白かったら、まずは、真行寺弘道が、「黒木透」が桐箪笥の職人に発注して作ってもらったスピーカーを使って、ビョルグ(ビョークをモデルというかほぼ名指しで架空の物語に登場してもらってる)の前でかける、シガーロスの アゲイティスビュリン という曲を聴いてみる(聴いたことなければ)のがいいと思う。

・古いパイプオルガンの修復で気を付けるのは 現代風に良くしすぎないこと、と黒木がパイプオルガンを修理した職人からきいたこと

・最初は黒木は、失敗したかな?と思ったが、時間が経つにつれ桐のスピーカーの音が良く聴こえてきた

・真行寺が、スピーカーが桐で作られていて、日本の箏(ジャパニーズ・シダーといった)も桐で作られている、とビョルグに説明したこと

… アゲイティスビュリンの寡黙さが、何をいってるのか、の説明になっている。

現代風の響き渡る音ではないが、硬い木から、細いが強い響きが鳴ることで、そこから幾重にも広がる聴き手それぞれだけの世界が生まれる…。もし、パイプオルガンしかなかった時代の資料が失われていたら、ただ現代風にリッチに響く音だけしかない世界になってしまい、昔は得られたはずの精神性は永遠に失われる。単純にいってしまえば、そういうことなのだろう。

そして黒木が工芸品、に惹かれる一番の理由として、スイスの高級時計を自分のものとして所有でき、使えることがいい、といってるが、腕時計はスマホなどには変えられない力があるのは確か。

スイスの高級腕時計は持っていないが、G-SHOCKのソーラー電波でも使っていれば、時間をこまめにみることで今日も時間を無駄にしなかったな~と自己満足に浸れる。スマホだと外出時にいちいち鞄やポケットから時間をみるためだけに出すのも面倒だし、出したら出したでかえって時間の無駄にもなったりして。

サランと森園の仕事はビョルグと再会してうまくいったの?とか、柴田澪はそのあとうまくやってるか?とか、黒木が和歌山県に来た本当の理由はなんのか?とか、いろんな伏線も残して次回作を待たされることになった。