よくいる57歳の日記

そこらへんによくいる56歳の日記

ノーベル賞の季節がやってきた

文学賞、毎回、村上春樹と日本のマスコミが騒ぐけど、そうなんですかね。

羊をめぐる冒険』が出たころからずっとファンなのだが、

ねじまき鳥クロニクル』、あのころが一番書きたいものがあふれてた気がする。大東亜戦争中のノモンハンで日本軍の大量の殺戮の記憶が、なぜか妻に失踪された男の人生に影を落とす。歴史の負の記憶と個人の、緩いのか深いのか、ほのかなのか根深いのか、あいまいな結びつきが繰り返し語られながら、モダンな謎の親子の手助けで妻を探す。最後は『ライ麦畑でつかまえて』へのオマージュで終わるのだが、ライ麦の主人公はたぶん、メンタルヘルス系の病院に入院していて…。その次の『国境の南 太陽の西』は、世界レベルの傑作小説だったと思う。誰にも知られず海にふる雨を思っている主人公の肩に誰かがそっと手を置いた、という最後はぞくっとした。あらすじだけ抜き出してただのラノベとかいう人がいるけど、あらすじだけだと『カラマーゾフの兄弟』だって何も起こらなかった、ドミートリィは自堕落、イワンは無神論者のままで終わった、というような感じですかね…。あらすじってわりとどうでもいいのだが。

1Q84』が、2011.03.11 のあの地震で腰を折られた、みたいな感じになって、『騎士団長殺し』 頑張ってたけど、なんとなく自分で自分の模倣に陥ってる気がする。

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』は、村上春樹流の下町ロケットみたいな感じした。物を作る人がたくさん出てくる。

ノーベル文学賞は、歴史的・社会的に意味がありそう?って人がもらっているので(アメリカ社会をトランプが分断した年にボブ・ディラン、みたいな感じで)村上春樹は、今一度、『ねじまき鳥クロニクル』レベルの傑作長編を書いたらとるのかも。


ドライブ・マイ・カーで話題になった、『女のいない男たち』、は、読んでいない…。読みますかね。

 

要するに何が言いたいかというと村上春樹のターンじゃないと言いたかった。