粋な黒塀 見越しの松に 艶な姿の洗い髪
死んだはずだよ お富さん 生きていたとはお釈迦様でも 知らぬ仏のお富さん
えっさやー 源屋店
という、春日八郎のヒット曲、お富さんは 与話情浮世横櫛 (よはなさけうきよはよこぐし)という江戸末期の歌舞伎演目の話からとっている。
ヤクザの妾だったお富さんと、ぐれてはいるがお坊ちゃまの与三郎が恋仲になった。与三郎は「親から金をむしろうぜー」とヤクザに簀巻にされ捉えられ、お富さんは追いかけられ海で溺死したと思っていた…。向傷の与三とか切られの与三とかいう呼び名でちんぴらになってしまった与三郎が金持ちの妾に金せびろうとして行った家でお富さんと再会…。(歌はここの場面)
結局は二人は結ばれ、与三郎もなんか奇蹟が起きて傷も綺麗になり幸せになるという話。
やくざ=簀巻きというイメージって、こういうのから来てるのか…と納得したり、
最後はバイオレンスジャック(永井豪の漫画)みたい~、戦って傷だらけになった女の子の体をなんか不思議な力が癒してくれて傷が治るって話あったな~とか、56歳の受け止め方が変かな?
初演は八代目市川團十郎が与三郎をやってて… 海老蔵さんもそのうちやるかな。
歌舞伎は明治期に、外人に低俗と思われたくないから禁止(衆道物とかが対象)、ながなが何日もやったりしていて劇場でできないから整理とかで、演目そのものが消滅したり、場面が整理されたりしてしまい、食べていくために役者たちもあっさり従ったためそれで定着。それをまた、お国主導で江戸時代の形で再現したりしてるのが国立劇場…という現状が複雑だよね…。
それにしても、歌舞伎を通じて江戸の庶民のメンタルに驚愕する。
こいつは春から縁起がいいぞえ~
って台詞が、ヨタカ(フリーの売春婦)を川に突き落としてかっぱらった金が100両もあったぜ、と、女装の強盗がいう台詞だと知ったときは... 唖然であった。
三人吉三廓初買 | 歌舞伎の演目 | ユネスコ無形文化遺産 歌舞伎への誘い (jac.go.jp)
でも、日本語の中に深くしみ込んでいるもんだなーとも思うね。